ダウン症児を持つ親が一番心を痛めるのは、偏見と差別でしょう。
まだ赤ちゃんの娘をベビーカーに乗せて街に出ると、「可愛いですね」と言って下さる方がいる中で、
言葉には出しませんが、たとえば電車の中でじっと娘を見ている方もいます。
こんなこともありました。
ファミリーレストランの隣の席のお客さんがダウン症児の話をしていました。
どうも娘がダウン症とは気づいていないようです。
その方たちは、「ダウン症の人はみんな同じ顔をしているよね」といった内容の会話をしていました。
注意でもしようと思いましたが思いとどまりました。
注意をしたところでその方々とはまた会う機会がある訳ではありません。
またその方々も悪気がある訳でもありません。
私もダウン症の娘が生まれていなければ同じような会話をしていたかも知れません。
つまり知らないのです。自分とは遠い別のところのことのように思っているのです。近くに実はいることも知らずに。
私も娘が生まれてからダウン症の方をよく見るようになりました。
決して増えた訳ではありません。関心がなかったため見ていなかったのです。
先ほどの方のように無意識の差別、偏見は、ダウン症の人のことを知らない、接したことがないから起きるのです。
もっと近くにいれば、もっと接する機会があればそのようなことは少なくなるでしょう。
ところで先ほどのファミリーレストランのことですが、会計を済ませた後、店員が「申し訳ありませんでした」と言っていました。
心ある人も多いのです。
恐れずに外にでましょう。このような状況に慣れることも必要です。