新型出生前診断の正式名称は、無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT:non-invasive prenatal genetic testing)となっています。
2013年4月から日本で受けられるようになった新しい検査方法です。
検査は、採血することで簡単に行えます。
方法としては、母親の血液中にある胎盤の絨毛由来のDNAを取り出し、染色体疾患がないかどうか検査するというものです。
目次
1.診断できる染色体疾患
意外にも診断できる染色体疾患は、次の3つだけです。
- ダウン症候群(21トリソミー)
- エドワーズ症候群(18トリソミー)
- パトー症候群(13トリソミー)
これら3つの疾患は、胎児の染色体疾患の約7割を占めると言われていますが、逆に約3割の疾患は、この検査方法で判定することはできません。
つまり万能ではないということです。
2.診断の精度は?(要注意)
精度は99.1%でかなり高いですが注意が必要です。
この精度とは、ダウン症を持った胎児を陽性と正しく判定できる精度のことです。
例えば、1000人のダウン症を持った胎児がいたとします。
99.1%の精度とは、この1000人に新型出生前診断を行った場合、991人は陽性と判定されますが、残りの9人は陰性と判断されるということです。
0.9%は誤りが発生するということです。
具体的な話をしたいと思います。
45歳の女性の場合、ダウン症が生まれる確率は、30分の1です。(3.3%)
更に出生前診断が誤る確率は、0.9%です。
ダウン症児出生確率×新型出生前診断が誤る確率=3.3%×0.9%=3%
これは、40歳の女性が新型出生前診断で陰性の診断がされたにも関わらず、ダウン症児が生まれる確率が3%であるということです。
この3%は決して小さくはない数字です。
特異度99.9%という確率についても説明します。
この確率は、ダウン症児でない胎児が1000人いた場合、99.9%は、陰性と判定されるが、0.1%は、陽性と判定されてしまうということです。
つまり、ダウン症でない胎児を0.1%の確率でダウン症と誤って判定してしまうということです。
同じく45歳の女性の場合を例に考えたいと思います。
ダウン症児出生確率×新型出生前診断が誤る確率=3.3%×0.1%=0.3%
これは、45歳の女性が出生前診断で陽性の診断がされたにも関わらず、実はダウン症児ではなく健常児だった確率が0.3%であるということです。
陽性の結果だったのでダウン症だと思っていたところ実は、1000人に3人は健常児だったということです。
怖くありませんか?
そのため、この検査だけでなく確定診断を行うため、羊水検査・絨毛膜検査を行います。
参考に母親の年齢におけるダウン症児の出生確率を示しておきます。
データ Down_Syndrome_Risk_by_Maternal_Age-semilog.svg
3.費用
新型出生前診断の費用は、医療機関によって異なりますが20万円くらいのようです。