「みんなちがって、みんないい」は、昭和初期に活躍した童話詩人、金子みすゞさんの作品「わたしと小鳥と鈴と」の一節です。
わたしと小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。わたしがからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけれど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんな唄は知らないよ。鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。引用 「金子みすゞ童謡全集」(JULA出版局)
「みんなちがって、みんないい」はとても良い詩です。
「みんなちがって、みんないい」とはどんな意味なのでしょうか。
金子みすゞさんの詩を再発掘し、「金子みすゞ童謡全集」を発行した児童文学者の矢崎節夫氏は、次のように述べています。
題名が「わたしと小鳥と鈴と」となっていますが、詩には「鈴と、小鳥と、それから私」と私の位置が逆になっています。
「私とあなた」であると「私はわたしでいいのだ、私は何をやってもいい」という意味となってしまいます。
「あなたと私」とすると「あなたはあなたのままでいいのだ」という意味となります。
そして「みんなちがって、みんないい」は、すべてを認めることだと述べています。
一番に手助けが必要な人に対して手を差し伸べるという姿勢がなければ、すべての人たちを平等に幸せにはできないと矢崎氏は解釈しています。
鈴と小鳥と私は一つのたとえだと思います。
広く捉えると女性も男性も、世界の全ての国の人々も、そして健常者も障がい者も、いろんな違いはありますが平等だということです。
そしてその平等は、弱者に手を差し伸べることによってもたらされると言っているのだと思います。
改めて「みんなちがって、みんないい」は平等について短く、そして端的に言い表していると思います。
なお、参考とした「金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」受容研究」では、いろいろな解釈が載っています。
人それぞれ、この詩から思い浮かべることはいろいろだと思います。
そこから出てくる解釈も違っていても良いのではないかと思います。
さて金子みすゞさんですが1930年、家族の問題が原因で自ら命を絶ち、26年という短い生涯を終えました。