⑪ダウン症に関するニュース

「声をあげられない子どもたちのために」―五所川原市の障害者支援施設での虐待疑い報道を受けて

2025年7月2日、青森県五所川原市にある障害者支援施設で、職員が利用者に対して虐待をしていた疑いがあるとの報道が流れました。報道によれば、市はすでに調査を開始し、写真による証拠も存在するようです。施設側はまだ事実を確認できていないとしていますが、園長も「虐待がなかったとは言いきれない」とコメントしており、非常に重い事案であることは間違いありません。

このニュースを見て、私は胸がざわついています。

というのも、私には17歳になる長女がいます。彼女は言葉を話すことができず、何か嫌なことがあっても、自分から「助けて」と言うことができません。そんな娘にとって、周囲の大人たちは唯一の「声」であり、盾でもあります。だからこそ、支援施設のような「安心できるはずの場所」で起きたかもしれない暴力の報道は、他人事とは到底思えないのです。

障害のある方が生活する施設は、本来であれば、家庭に代わる安心・安全な居場所であるはずです。日々の生活の中で信頼関係を築き、利用者一人ひとりの個性や困難に寄り添いながら、その人らしい生き方を支えていく場所でなければなりません。そこに虐待が入り込むということは、彼らの居場所を根本から奪うことになります。

そして何よりも恐ろしいのは、「声をあげられない人」が被害にあっているかもしれないという現実です。

私の娘のように、言葉を使って自分の気持ちを伝えられない人が、もしも理不尽な扱いを受けていたとして、それに周囲が気づけなかったら…。想像するだけで、背筋が凍ります。虐待は、直接的な暴力だけでなく、無視や暴言、必要な支援を故意に怠るといった「見えにくい形」でも起こりえます。だからこそ、常に第三者の目によるチェック体制や、透明性のある運営が必要なのです。

今回の報道を通じて、私たち親にできることは何か。

それは、子どもたちの「小さなサイン」に敏感になること。そして、施設や学校に対しても、適切な関心と問いかけを持ち続けることだと思います。「信じる」ことと「無関心」は違います。信頼しながらも、時に立ち止まり、確認する。それが我が子を守る一歩になるのだと思います。

そして社会全体にも問いたいのです。声をあげられない人の「声」になれる社会かどうか。今一度、私たち大人一人ひとりの姿勢が問われていると感じます。

調査の行方を注視しながら、私もできる限り、娘の「代弁者」であり続けたいと思います。

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