胎児治療とは、 何もしないと死産となってしまったり、生まれても死んでしまうような病気などを胎児のうちに治療するというものです。
現在の治療方法としては、子宮内に器具などを入れて手術したり、薬物を投与したり、輸血するというものです。
これは、胎内治療と呼ばれます。
一方、胎児を一時的に母親のお腹から取り出し、手術した後、再びお腹に戻す母体外治療というものもあります。
最近、ダウン症の胎児治療の可能性についてニュースが流れました。
ダウン症児の脳の発育不全について、胎内治療で改善しようとするものです。
京都薬科大学の国際共同研究グループが発表しました。
21番染色体にあるErg遺伝子が脳の発育に関与しているようです。
Erg遺伝子を正常に戻すことで脳の発育不全を防ごうとするものです。
以前、このブログでも紹介したダウン症の症状を退治中に改善する化合物「アルジャーノン」とは別の手法のようです。
「アルジャーノン」のときも賛否両論があり、ダウン症をなくしてしまうのではないかという議論がありました。
今回、紹介した胎内治療についても同様の議論が起きる可能性があります。
けっしてダウン症をなくしてしまう訳ではなく、脳の発達を正常に戻すものです。
しかし、このような治療が確立し、治療を行えた世代と行えなかった世代間で新たな問題が生じる可能性もあります。
そもそも、ダウン症の治療はどこまで行ってもよいのかという議論もあると思います。
なかなか悩ましい問題です。
プレスリリース ダウン症の胎内治療の実現化に向けた新たな知見