なぜトイレットペーパーの買い占めが起きるのか?
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、デマからお店からトイレットペーパーが消えました。
このような現象は、災害があるたびに何度も繰り返し、起きます。
なぜでしょうか?
まず今回のトイレットペーパー騒動について考えてみます。
最初のきっかけは、次のような熊本県発のデマでした。
- トイレットペーパーの材料である紙がマスクの回されるので不足する
- 中国から原材料を輸入できなくなる
これがSNSなどで拡散されて全国に広まっていきました。
全国放送のテレビでも放送されました。
これによって危機感を覚えた人たちが一斉にトイレットペーパーの購入に走りました。
これが第一段階です。
あの後、在庫があるにも関わらず、スーパー、ドラックストアーへの供給が追い付かず、トイレットペーパーが陳列棚から姿を消しました。
全国的に品薄の状態となったため、さらに人々が購入に走りました。
これが第二段階です。
この段階では、既に最初のデマは誰も信じていませんが、品薄のために購入に走っています。
「買い占め」はよくないことであることは知りつつ、誰もが購入に走っています。
品薄→購入に走る→品薄という悪循環に走ります。
一斉にトイレットペーパーの購入に走る心理とはどんなものでしょうか?
これは、ゲーム理論「囚人のジレンマ」で説明できます。
ゲーム理論は数学の分野ですが、ここでは難しい話はしません。
「囚人のジレンマ」とは、次のようなものです。
囚人AとBがいます。
お互い別々な部屋で尋問を受けています。
二人の囚人の選択肢は、「自白する」、「自白しない」の二つです。
自白した場合、刑は軽くなり懲役5年です。
自分は自白しないで相手が自白した場合は、刑が重くなり懲役10年となります。
囚人A、Bともに自白しない場合、無罪となります。
もし、二人の囚人同士、話ができるとしたら双方とも自白しないを選択するでしょう。
でも別々な部屋で尋問を受けているため、相手がどのような告白をするか分かりません。
このような場合、ほとんどの人は、「自白」を選択するでしょう。
これは、自分にとって最善の選択肢を選んだ結果、双方が協力した場合よりも悪い結果となるジレンマを図式化したものです。
トイレットペーパーの買い占め騒動もこれと同じです。
みんな買い占めがない方が品薄にはならないことは言っていますが、そうは言ってもみんなが買い占めを止めるとは思えません。
そうなると個人の利益が大きい買い占めを選択するのです。
買い占め騒動はなくならない
このように考えると買い占め騒動はなくならないのだろうと思います。
買い占めに走る心理は、誰もが持っているもので責めることはできないでしょう。
これからも繰り返し起きます。
であれば、普段から余分に購入しておくことだろうと思います。