2018年のアメリカのアカデミー賞主演女優賞は、映画「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドさんでした。
フランシス・マクドーマンドさんは、受賞スピーチの中で聞きなれない「inclusion rider」(包摂条項)という言葉を使い大きな反響がありました。
「inclusion rider」とは、作品に多様性を求める権利とのことです。
具体的には、映画に関わる男女、少数民族、LGBTQコミュニティの人たち、障がいを持つ人たちの割合が、その映画のロケ地の人口の割合を反映していなければならないという契約における付帯条項のことです。
メディア研究者のステイシー・スミス博士らが女性、少数民族、障がい者が映画、テレビに出演する機会を増やす方法として編み出した方法です。
アメリカの場合、「inclusion rider」は以下のようになっているということです。
- 女性 50%
- 白人以外 50%
- 障がい者 20%
- LGBTQコミュニティの人 5%
これは、俳優でけでなく、エキストラ、スタッフにも適用されるようです。
一人の力がある大物俳優が、映画の出演交渉を受けた際、この条項を条件にすることで、例えば人種に偏りがある映画は作れなくなります。
少数民族、LGBTQコミュニティの人たち、障がいがある人たちは、マイノリティであるため不利益となる立場になりがちです。
そのロケ地の人口の割合に応じて、多様性がある人達が映画に参加できるということは、そういったマイノリティの方々にとって公平なことであると思います。
なお、日本の映画界にはこのような条項はないようです。