以前、ダウン症告知時のショックから前向き(再起)になるまでのアンケート調査を行いました。
ある程度、サンプルが集まりましたので分析結果を公開します。
データ収集期間 2018年2月1日から3月11日
なお、ダウン症告知時のショックから前向き(再起)までの感情の過程は、ドローターのモデルを使いました。
ドローターのモデルは、以下の図のように「ショック」、「否認」、「悲しみと怒り」、「適応」、「再起」の5つの段階を辿ります。
図 障害者受容の段階モデル(ドローターの図)
1.ショックの時期
図 ダウン症告知時のショックの期間
0か月でショックが終わる方が多いですが、11か月たってもショックが終わらない方もいるようです。
平均するとショックが終わるまでには3.11か月かかるようです。(中央値の場合は1か月)
2.否認
①始まり
図 認否の始まりの時期
否認とは、以下のような状態です。
「自分の子供に障がいがあることを認めたくないため、複数の医療機関をまわり、ダウン症でないことを言ってくれる医師を探し求めたりする」
認否の始まりは、平均で0.16か月になります。(中央値の場合は0か月)
②終わり
図 認否の終わりの時期
認否の終わりは、平均で2.77か月になります。(中央値の場合は1か月)
(11か月以上は細かくデータを収集していないため、一律、11か月としています)
ただし、1か月で終わる方が多い一方、11か月以上かかっている方もいることが分かります。
3.悲しみと怒りの時期
①始まり
図 悲しみと怒りの始まりの時期
悲しみと怒りとは、以下のような状態です。
「悲しみと怒りという強い感情が、否認の段階にともなったり、引き続いて起こったりする」
- 子どもに愛着を感じることに躊躇を覚える
- とてもつらく、どんなにしても泣けてくる
- 誰かを叩きたい気持ち
- 親としての義務感だけで育てる
「悲しみと怒り」の始まりは、平均で0.13か月になります。(中央値の場合は0か月)
②終わり
図 悲しみと怒りの終わりの時期
「悲しみと怒り」の終わりは、平均で3.33か月になります。(中央値の場合は2か月)
(11か月以上は細かくデータを収集していないため、一律、11か月としています)
ただし、ここでも1か月から3か月で終わる方が多い一方、11か月以上かかっている方もいることが分かります。
4.適用の時期
①始まり
図 「適用」の始まりの時期
「適用」は、以下のような状態です。
- 情緒的な混乱が静まるにつれて、親は自分たち置かれている状況になれ、子どもの世話をする能力に自信をもつようになる時期。
- うまくいってもこの適応は不完全のままで長く続く。
「適用」の始まりは、平均で2.5か月になります。(中央値の場合は1.5か月)
(11か月以上は細かくデータを収集していないため、一律、11か月としています)
0か月の方が多いですが全体的にばらついています。
中には11か月以上となっている方もいます。
②終わり
図 「適用」の終わりの時期
「適用」の終わり(再起)は、以下の状態になることです。
- この時期に両親は子どもの問題に対する責任に対処する。
- 罪障感からの回復の時期。
- 母親は、子どもに問題が起こったのは、何も私のせいでないととらえられる時期。
「適用」の終わりは、平均で4.91か月になります。(中央値の場合は1か月)
(11か月以上は細かくデータを収集していないため、一律、11か月としています)
ただし、ここでも1か月で終わる方が多い一方、11か月以上かかっている方もいることが分かります。
5.まとめ
以上の得られたデータをもとに「ショック」、「否認」、「怒り・悲しみ」、「適用」のそれぞれの期間をグラフにしてみました。
(それぞれ平均値を使用しています)
図 「ショック」、「否認」、「怒り・悲しみ」、「適用」のそれぞれの期間
「ショック」、「否認」、「怒り・悲しみ」は、ダウン症告知から同時に始まり、終わりもほぼ同時で3か月後であることが分かります。
「適用」終了については、ダウン症告知から平均で5か月ほどかかることが分かります。
ただし、「ショック」から「適用」終了まで1か月という方がいる中で11か月以上かかっている方もおり、二極化しているようです。
二極化しているということは、生まれた時期が同じダウン症児の親どうしてあっても、感情的な部分については温度差を感じている方が多いのではないかと思います。
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