早希ちゃんは、いまだに言葉をしゃべることはできません。
以前、参加したダウン症に関する講演会において、
「どうやったら、普通に言葉をしゃべれるようなるのでしょうか?」
という質問がありました。
回答は、「しゃべりたいときにしゃべれるようになる」ということでした。
早希ちゃんの場合、まだしゃべりたくはないのでしょう。
ダウン症児は、興味があることに対しては一生懸命、集中します。
しかし、興味がないことには見向きもしません。
しゃべらないことの理由の一つには、しゃべることに興味がないこともあると思います。
いままでしゃべっていたダウン症者が突然、しゃべらなくなることもあるようです。
逆に考えるとしゃべる必要性が出てくれば、しゃべりだすのかもしれません。
早希ちゃんは、言葉はしゃべれませんが、私たちの言っていることはほとんどわかっているようです。
先日、すごいところを見ました。
早希ちゃんには、早希ちゃん専用のiPadを与えています。
いつもは、YouTubeを見ています。
自分で慣れた操作して画面をスクロールさせて、選択し、好きな動画を選んでいます。
妻が横でアイスを食べていたときのことです。
それを見た早希ちゃんは、YouTubeを止め、アプリ「えこみゅ」を立ち上げました。
アプリ「えこみゅ」の写真です。
そして、アイスの絵を選び、アイスを食べたいとアピールしたのです。
妻が「いいよ」と言うと早希ちゃんは、冷蔵庫に行き、アイスを取り出しました。
これはすごいことです。
次のことができるということです。
- iPadの操作方法を覚えている(複雑な操作が行える)
- アプリを立ち上げて伝えたい絵を探して選択している(コミュニケーションのツールとして使いこなしている)
- ママから許可をもらってからアイスを取り出す(ルールを理解している)
「こんなことですごいの?」と言う人もいるといると思います。
言葉をしゃべれない早希ちゃんとのギャップがすごいんです。
言葉はこれからもしゃべれないかもしれません。
しかし、iPadのような道具を使い、さらに複雑なコミュニケーションができる可能性があると思います。