大学を卒業されているダウン症を持った人は、私の知る限り数名います。
今回、紹介するこの論文には、日本福祉大学においてダウン症を持つ学生の論文執筆に対する支援について書かれていました。
現在、大学では、障がい等の理由で困難を抱える学生が増えているそうです。
2016 年 4 月に施行された障害者差別解消法により、こういった学生に対する支援が国立大学では義務に、私立大学では、努力義務となっています。
この論文に登場する学生は、モザイク型ダウン症を持っているとのことでした。
知的障がいはないということでしたが、抽象的、論理的な思考の弱さが感じられたそうです。
学習方法及び学習計画などの相談を定期的に行っていました。
卒業論文は、必須ではなかったそうですが本人と家族が希望していました。
冒頭で紹介した論文は、この学生の論文執筆の支援に関するものです。
色々、工夫がされていました。
例えば、卒業論文用の文書ファイルは、Googleのサービスであるネット上で文書を作成・共有できるは Google Docsを使ったようです。
このため、論文作成の進捗状況が確認できたようです。
ゼミ担当教員との連絡にLINEを使っていました。
担当教員は、執筆を促したりすることに多くの時間を使ったそうです。
学生は、テーマの選定は苦労されたようですが、次の題名の論文を執筆されています。
「ダウン症当事者としての英語学習事例研究」
上記の論文には、本人自身が英検準 2 級を取得し、さらに進んだ学習を進めるまでの過程が記されているようです。
学生は発表会で発表をしており、他の学生と同等のレベルだったそうです。
ただし、論文作成には、本人のアイデアをもとに担当教員、支援者が作成した文章も含まれており、適切な支援の範囲はどこまのてなのかという課題が残ったようです。
今後もダウン症を持った人が大学生となるケースが増えていくものと思われます。
この論文は、そういった学生に対する支援の在り方について課題を提起するものであると思います。
少なくても、この学生は、ダウン症を持った人の中ではかなり優秀であると思います。