ダウン症のある早希ちゃんは、「おさるのジョージ」のことを「ジ」と言います。
なぜ、「ジ」と言うのか、その謎が解けました。
「ジョージ」と発音しにくいので、一番、言いやすい「ジ」と短縮して言っているのかと思っていましたが、専門家の話を聞いて納得しました。
専門家の話では、どうもワーキングメモリが関係しているということでした。
どういうことでしょうか。
人間の脳には、短期記憶(ワーキングメモリと言います)と長期記憶があります。
ワーキングメモリは、外から入ってきた情報を一時的に置く場所です。
長期記憶は、長い間、記憶している場所です。
外から入った情報は、一旦、ワーキングメモリに入れられ、必要なものとそうでないものを分けて、必要なものだけが長期記憶に入ります。
例えば、「ジョージ」という言葉が一旦、ワーキングメモリに入り、必要な情報だった場合、長期記憶に入ります。
ところがダウン症を持った人の場合、ワーキングメモリが弱いため、「ジョージ」という言葉を全て置いておくことが出来はません。
そのため、最後の「ジ」だけ残されます。
この残された「ジ」だけ、長期記憶に入ります。
このような記憶の仕方をするため、例えば、「おさるのジョージ」という言葉を聞いたとき、「ジ」しか記憶していないため、「おさるのジョージ」のことを「ジ」と言うのです。
では、ダウン症を持った人にきちんと「おさるのジョージ」を覚えてもらうためには、どうしたら良いのでしょうか。
専門家の話では、ゆっくり言うことと繰り返し言うことだそうです。
ゆっくり言うことと繰り返して言うことでワーキングメモリに留まりやすく、長期記憶に入れるそうです。
目から鱗です。
早希ちゃんには、ゆっくりと繰り返して言うように心がけたいと思います。