写真 アウシュビッツ強制収容所
T4作戦は、ご存知でしょうか。
次の記事に書きましたが、ナチスの被害者は、ユダヤ人だけではありません。
精神障害者も犠牲になりました。
その中には、ダウン症者も含まれています。
ユダヤ人だけでない!障がい者も犠牲になったナチスのT4作戦とは?
先日、ユダヤ人絶滅について議論したヴァンゼー会議を映画化した「謀議」を再び観ました。
この映画はほとんどが会議のシーンです。
「十二人の怒れる男」という映画と似ています。
この映画の中でT4作戦について語られる場面があります。
将来、アウシュビッツ強制収容所にユダヤ人を輸送する最高責任者となるアイヒマン中佐が次のように述べます。
T4計画の注射に比べて、最も効果、効率が高いのは、一酸化炭素ガスです。
ブランデンブルグで精神障害者に使いました。
シャワー室を模した専用室を建設し、被験者は裸でその部屋へ入れ、
ステンレスのポンプから一酸化炭素ガスを注入・・・
映画「謀議 [DVD]」より
精神障害者の中にはダウン症者も含まれています。
T4作戦による犠牲者は15万人から20万人以上になると言われています。
アイヒマン中佐の説明がもとになり、ユダヤ人根絶の手段としてガス室が決定されました。
(映画ではアイヒマンが語ったように描かれていますが、実際は分からないようです)
つまり、ホロコースト(ナチスによるユダヤ人の大虐殺)のリハーサル的な意味合いでT4作戦が行われていたのです。
※ホロコーストの犠牲者は、600万人と言われています
とても恐ろしいことです。
この会議は、会社でも行われている会議と同じように進められます。
対象が「ユダヤ人根絶」が主題であることを除いては。
会議では、言葉の定義や数字、法的な解釈、効率的、効果的な方法について議論されます。
ほとんどの高官は、現場を知らないのでしょう。
机上の議論で進められていきます。
どんな優秀な人も間違った方向に進むとこうなるという典型です。
そこがまた怖いところです。
のちにアイヒマンは、次の言葉を残しています。
「1人の死は悲劇だが、100万人の死は統計上の数字に過ぎない」と。
この映画を観た後、ホロコーストを描いた映画「シンドラーのリスト」を改めて観ました。
オスカー・シンドラーという1100人ものユダヤ人を救う実在の人物について描いた映画です。
とても心に重くのしかかる映画です。