実は誕生した赤ちゃんのうち、約4.0%(3.0~5.0%)は、先天性疾患を持っています。
約25人の赤ちゃんに1人は、先天性疾患を持っています。
想像以上に高い確率です。
クラスに一人以上は、先天性疾患を持っていることになります。
原因別に分けると次のようになります。
先天性疾患の原因別の割合
参考引用 トンプソン遺伝学 7版
①複数の遺伝子とその他の要因が組み合わさったもの
多因子遺伝と呼ばれています。50%と最も多い割合です。
複数の遺伝子や他の原因(ウィルスや細菌など)が組み合わせて発生する疾患です。
糖尿病、高血圧、リウマチ、痛風などよくある疾患を発症させます。
つまり、誰でも持っている可能性がある先天性疾患ということになります。
もしかしたら私も持っているかもしれません。
②染色体に原因
染色体疾患と呼ばれています。
染色体の部分に異常がある疾患です。
ダウン症は、染色体疾患の1つです。
③一つの遺伝子に原因(単一遺伝子)
ある1つの遺伝子に異常がある場合です。
先天性代謝異常症が多いと言われています。
④遺伝子以外の要因に原因
環境・催奇形因子と呼ばれます。
催奇形因子は、胎児に奇形を起こします。
染色体疾患の内訳
染色体疾患の内訳です。
引用 Wellesley, D, et al. Eur J of Hum Gen, 11 January 2012
染色体疾患のうち、53%がダウン症です。
半数は、ダウン症といことになります。
ついで18トリソミーが13%です。
18トリソミーは、18番目の染色体が2本のところ、3本あるというものです。
13トリソミーは、5%となっています。
こちらは、13番目の染色体が2本のところ、3本となっているものです。
トリソミーは、1番から23番まであり得ますが、13番、18番、21番以外の染色体が3本となった場合、ほとんど流産してしまうそうです。
そのため、生まれてこれません。
これだけ先天性疾患が多いということは
先天性疾患がこれだけ多いということは、誰でも先天性疾患は持っていてもおかしくはない、普通のことであるように思います。
以前、ダウン症は、個性という言い方をされた人がいますが、私は多様性という言葉の方がしっくりきます。
ダウン症を含め、先天性疾患は、男女、肌の色などと同じく多様性の一つなのかもしれません。
新型出生前診断で判定できるのは、先天性疾患の一部のみ
以前、新型出生前診断が騒がれていましたが、この検査で判別できるのは、13番、18番、21番のトリソミーのみです。
ということは、計算上、先天性疾患のうち17%しか判別できないということです。
17%の疾患しか判別できない新型出生前診断に疑問を持っている人もいます。
そもそも、新型出生前診断は、命の選別につながるという意見もありまが・・・