東京都世田谷区立桜丘中学校校長の西郷孝彦さんのお話です。
桜丘中学校では、校則を撤廃し、定期テストも廃止するなど画期的な改革を行ったことで新聞やテレビで取り上げられていますので知っている人は多いと思います。
校則を撤廃し、定期テストも廃止には、特別支援学校での経験があったようです。
さて桜丘中学校の校長である西郷孝彦さんは、異色の経歴を持っています。
機械いじりが好きだった西郷孝彦さんは、上智大学の理工学部に進学します。
最初、就職は、コンピュータ関連企業を目指していましたが、1973年ころのオイルショックから工学関係の採用募集人数が激減し、進路変更をしたそうです。
西郷孝彦さんは、学校の教員には夏休みがあるということから、学校の先生を目指すことになります。
最初に配属されたのは、養護学校(現在の特別支援学校)でした。
養護学校には、自分の手で食事ができない、排せつができない、言葉がしゃべれない児童が多くいました。
最初は、児童が何を言おうとしているのか分からなかったと言います。
でもこちらの一生懸命な表情や、手振りなどが児童に伝わったと言います。
必死で伝えようとすれば、伝わるかもしれない、そう西郷孝彦さんは思ったそうです。
徐々に子供たちと打ち解けていく西郷孝彦さんさんは、あるとき気づきます。
教員らしく振舞う必要はない、素の自分を出せばいいと。
それが児童たちに一番伝わるということ。
現在、西郷孝彦さんは、東京都世田谷区立桜丘中学校の校長をされています。
西郷孝彦さんが最初、この中学校に赴任されたときは荒れていたようです。
この中学校には、20ページにもおよぶ校則がありました。
- 他のクラスの教室に入ってはいけない
- 上級生は下級生と話してはいけない
- など
西郷孝彦さんは、この校則を全廃し、次の3つだけにしました。
- 礼儀を大切にする
- 出会いを大切にする
- 自分を大切にする
校則がないため、服装や髪形は自由です。
学校は何時に登校しても構いません。
定期テストもなくなりました。
かわりに小テストを積み重ねる方法になりました。
このことは、西郷孝彦さんの著書で語られています。
私は、校則の全廃に共感しました。
校則があると「校則があるからダメ」というようになります。
なんでダメなのかが校則が根拠となってしまい、そもそもなんでいけないのかという議論になりません。
昔は意味があった校則も今では時代遅れなものもあります。
そういった本来の意味が忘れ去られて校則がけが残っている。
だれも本来の意味を知らずに守ることだけが残っている。
なんとも変な話です。
また、校長室は、いつも開いており、生徒が自由に出入りできるようです。
校長先生と生徒の間には垣根がありません。
恋愛の相談もされるようです。
このような校長先生の姿勢は、養護学校での経験からなのでしょう。
教員らしく振舞う必要はない、素の自分を出せばいい
この姿勢によって生徒との信頼関係を築けるのでしょう。
この桜丘中学校からは、難関高である日比谷高などに合格した生徒が多数いるようです。
こういった環境が学力にも影響しているのでしょう。
いろいろと考えさせられました。