目次
1.出生前診断の種類、特徴、精度、リスク
出生前診断は、生まれてくる前に子供に先天的な病気がないかどうかを調べる検査のことです。
出生前診断には、以下の5種類があります。それぞれの特徴、精度、リスクについて説明します。
①超音波による検査
お腹に超音波を当てて、反射して帰ってきた超音波を映像化してお腹の胎児の状態を調べる方法です。
ダウン症であることの診断精度は、70%程度だと言われています。
検査自体は、安全でリスクはありません。
②母体血清マーカー検査
胎盤を通して血液中に入ってくるタンパク質やホルモンの濃度を調べます。
ダウン症であることの診断精度は、80~85%程度だと言われています。
検査自体は、安全でリスクはありません。
③羊水検査
羊水の中に含まれる胎児の細胞を抽出して染色体を調べる方法です。
ダウン症であることの診断精度は、99.9%程度だと言われています。
胎児が亡くなるリスクが0.3%あります。
④絨毛検査
母親のおなかにカテーテルまたは針を刺して絨毛というものを採取し、検査をします。
ダウン症であることの診断精度は、99.9%程度だと言われています。
胎児が亡くなるリスクが1%あります。
⑤新型出生前診断(NIPT)
2013年4月から日本で受けられるようになった検査方法です。
採血することで検査をします。
母親の血液中には、絨毛由来のDNAが交じっており、このDNAを調べます。
ダウン症であることの診断精度は、99.1%程度だと言われています。
検査自体は、安全でリスクはありません。
精度が高いがリスクもある羊水検査、絨毛検査と比べて、リスクがないことから注目されている検査方法です。
ただし、新型出生前診断(NIPT)は、臨床研究として実施されており、検査できる医療機関は少ないのが状況です。
2.出生前診断を受ける割合
出生前診断を「受けた」または「受ける予定」の人は、17%あったという報告があります。
83%の人は、出生前診断は受ける予定はないということになります。
しかし、これは出生前診断が高額でリスクがあるため、受けていないだけで潜在的なニーズはあるのではないかと思います。
もし、費用負担があまりなく、しかもリスクがなければ出生前診断を受ける人はもっと増えるでしょう。
3.出生前診断の課題
出生前診断には、次の課題があります。
検査結果が誤っている可能性がある
一番精度が高い羊水検査、絨毛検査でも99.9%であり、0.1%は誤っている可能性があります。
つまり、1000人がダウン症と診断された場合、1人はダウン症ではなかったということです。