目次
1.デザイナーベビーとは
受精卵の段階で遺伝子操作することで、目の色、髪の色として知力、体力さえも変えることが可能であるとされています。
子供の特徴をデザインするかのようであるため、デザイナーベビーと呼ばれています。
具体的には、利用者が望む遺伝子を持つ精子と卵子を体外受精させます。
細胞分裂後に遺伝子を調べ、検査の結果、望み通りの受精卵のみを子宮に戻すというものです。
望まない受精卵は廃棄するそうです。
このような遺伝子解析が可能な技術の特許が2009年にアメリカで認められたそうです。
しかし、この技術はデザイナーベビーのような命の選別ではないかという批判があります。
アメリカでは今でも、望んだ子供を持ちたい人たちが、有能な人の精子、卵子を高額な費用を出して買うそうです。
2.生まれる子供の遺伝子検査で将来の病気が予測
生まれる子供の遺伝病が発症する確率を調べるサービスが、2018年にも始まるようです。
「将来の子」遺伝病予測、両親検査し発症率判定…国内企業計画
これから子供を授かる予定の男女の遺伝子を調べることで、筋ジストロフィー、パーキンソン病など、約1000の病気の発症確率が分かるようです。
また生命保険においては、事前に遺伝子情報により病気の発症確率が分かれば、その確率に応じて保険料を安くすることも可能です。
このような技術は、患者ごとに応じたオーダーメイド医療が可能となるためメリットがありますが、差別を助長する可能性も指摘されています。
アメリカでは、2008年に成立した「遺伝子差別禁止法」により、ある遺伝子を理由に保険や雇用などで差別的扱いをすることを禁じました。
しかし、日本において現時点(2017年)では法制定は見送られています。
3.遺伝子情報により差別される世界、映画「カダカ」
デザイナーベビーや遺伝子検査により、差別される世界を描いたのが近未来のSF映画「カダカ」です。
「ガタカ」(Gattaca)は、イーサン・ホーク、ジュード・ロウ出演の1997年のアメリカ映画です。
原題「Gattaca」のGとAとTとCは、以下のDNAの基本塩基の頭文字から取ったそうです。
- guanine(グアニン)
- adenine(アデニン)
- thymine(チミン)
- cytosine(シトシン)
この映画の世界では、遺伝子操作で生まれる前に子供の身体的な特徴、知性、体力などをデザインが普通に行われています。
そのようにして生まれた子供は、将来、社会的地位を得ることができますが、そうでない(デザインされていない)子供は社会的地位を得ることができません。
その両者には社会的に大きな壁があります。
遺伝子がデザインされていない、社会的地位が低い主人公は、宇宙飛行士になるため、必死の努力をするというストーリーです。
この映画のメッセージは、人の能力は決して遺伝子検査の結果だけで測れるものではないということです。
壁を乗り越えようとする主人公にはとても感動と共感を覚えました。
古い映画ですが、とても良い映画ですのでまだ観られていない方にはお勧めです。
ダウン症について
ゲノム編集(genome editing)という技術が確立しようとしています。
これは生まれてくる前に遺伝子を書き換えることで病気を防ごうとするものです。
この技術を使うとダウン症も、原因となっている3本の染色体のうち、1本を不活性化することができるようです。
アメリカの全米科学アカデミー(NAS)は、2017年2月にゲノム編集で遺伝子を改変することを容認しました。
病気が予防できるメリットはありますが、どこまで遺伝子操作はどこまで許されるのか議論する必要があるでしょう。