今から50年以上前、ダウン症者に対して教育は不可能と言われていました。
しかし、その言葉に屈しなかった親子がいます。
ダウン症を持った子供は、1947年にイギリスに生まれたナイジェル・ハントと言います。
彼の母親は、彼に文字の読み方や発音の仕方を教えました。
そして彼が7歳のとき、文字を読むことができるようになったそうです。
彼は、小学校の普通学級に入学しますが、特別支援学校に転校させられます。
学校で母親が「この子は文字が読めます」と言っても誰も信じてくれなかったといいます。
校長先生は、文字が読めても意味は分かっていないはずだと言ったそうです。
11歳のとき、私立の普通学校に転校しましたが、それでも先生は、彼の能力について信じていなかったようです。
彼にとっては辛い学校生活だったようです。
彼の父親は、すべての知的障がいを持った子供たちのケースを一括りにしており、そういった先入観を持っていると述べています。
そして障がいを持った子供たちの能力を低く見ていることを簡単には認めないと言っています。
その彼が17、18歳の頃、「ナイジェル・ハントの世界―ダウン症の青年の手記」を書きます。
日本では、1985年に発行されています。
この本は、ダウン症を持っている人、ご両親に勇気と希望を与えました。
この本には8編のエッセイが載せられています。
ナイジェルの日常について、ナイジェルの目を通した世界が書かれています。
タイトルは以下の通りです。
- ロンドン・インスブルックで迷子になる
- 王室のウインザー
- 外国での休日
- ポップ・ミュージック
- ぼくの両親
- アソル校
- 思い出の歳月
- アメリカ合衆国
ダウン症を持っている人で本を書いたのは、岩本綾さんとナイジェル・ハントさんくらいです。
まだ偏見が多くあった時代に、それに屈せずに息子を成長させた母親の強さを感じます。