目次
1.ダウン症者の平均寿命
日本人全体の平均寿命は、80歳を超えています。
日本人の平均寿命
性別 | 2015年 | 2014年 |
男性 | 80.79歳 | 80.50歳 |
女性 | 87.05歳 | 86.83歳 |
一方、ダウン症者に限定した場合の平均寿命はどうでしょうか?
以前は、ダウン症者は短命であり、多くは10代で生涯を終えると言われていました。
1920年代、ダウン症者の平均寿命はわずか9歳だったそうです。
1980年代でも平均寿命25歳でした。
しかし、現在、ダウン症者の寿命は以前に比べて延びているようです。
外国の研究では、ダウン症者の平均寿命は58.6 歳であり,ダウン症者の25%は62.9歳まで生きられるそうです。
日本人のダウン症者の平均寿命は、男女ともに50歳を超えていると考えられています。
茨城県立医療大学大学院博士論文「歩行比の生涯変化に影響を与える因子の検討」 より
2.平均寿命が短い原因
ダウン症者の平均寿命が短い原因は何でしょうか。
原因は、ダウン症以外の合併症である先天的な疾患を併発することで命を落すことが多いためです。
先天性疾患には以下のようなものがあります。
2.1.心臓系の疾患(40%〜50%)
合併症には、先天的な心臓疾患があります。
ダウン症児の40%〜50%は生まれつき心臓に疾患を持って生まれてくるそうです。
例えば、心房中隔欠損症です。
これは、左右の心房の壁に穴があいている病気です。
2.2.消化器系の疾患(3〜8%)
ダウン症児の3〜8%は消化器系に疾患を持っているそうです。
例えば、二指腸閉塞などです。
2.3.呼吸器系の疾患
ダウン症児は、呼吸器が弱いため風邪によって気管支炎、肺炎などの呼吸器疾患となることが多いようです。
2.4.白血病
ダウン症児に多いのは、急性骨髄性白血病です。
急性骨髄性白血病にもいろいろ種類がありますが、ダウン症児に最も多いのは、M7と呼ばれているものです。
M7は血小板をつくる造血幹細胞ががん化するものです。
昔は、これらの合併症により若くして亡くなることが多かったため、平均寿命が下がっていました。
しかし、現在は、医療技術の進歩により、若くして亡くなるケースは少なくなってきており、平均寿命は飛躍的に延びています。
3.将来かかる可能性がある病気
ダウン症者の寿命が延びたことで新たな疾患にかかる可能性が出てきました。
アルツハイマー型認知症です。
健常者に比べるとダウン症者の方がアルツハイマー型認知症となる確率が高いようです。
35歳以上の約25%はアルツハイマーの兆候があるという研究もあります。
4.寿命を延ばすためには
寿命を延ばすために出来ることもあります。
4.1.生活習慣病予防
ダウン症者はもともと筋力が弱いため運動不足となることが多いと思います。
運動不足は、肥満の原因ともなり、生活習慣病にもつながるため、生活習慣を見直し、毎日の生活に運動を取り入れることが大切のようです。
4.2.合併症には定期的な健診・検査
合併症は、早期発見、早期治療が大切です。
定期的な健診・検査をすることで、もし合併症が見つかっても早期に治療を行えば寿命は伸ばせるでしょう。
4.3.周囲の人の理解と協力
いくら医療技術が進歩したとしても、やはり周囲の人の理解と協力がなければ、上記のこともできません。
自立しているダウン症者の寿命を延ばすためには、周囲の人の理解と協力は必要たと思います。
4.先に親が亡くなることは
いくら平均寿命が延びたとしても現在は50歳くらいです。
日本人の平均寿命は、80歳代であるため、子供の方が先に亡くなる可能性もあります。
母親が30歳で生んだ子の場合、子供が50歳のとき母親は80歳です。
40歳で生んだ子の場合は、子供が50歳のとき母親は90歳です。
ただし、医療技術がさらに進歩していることも考えられるため、私たちの子供たちはさらに長生きする可能性もあると思います。
こればかりは、その時になってみないわかりません。