ダウン症は、偶然に起こる染色体異常が原因です。
もし、早希ちゃんが生まれる前、早希ちゃんを形作る染色体に異常が発生しなかったら?
つまり、早希ちゃんがダウン症として生まれなかったら?
そんなことを考えたことがあります。
まず名前が違っていたでしょう。
早希ちゃんが生まれたとき、直ぐに医師からダウン症の疑いがあると伝えられました。
そこで私たちは、早く、そして希望という言葉から早希と名付けました。
ダウン症でなかった場合、別な名前になっていたに違いありません。
顔、背格好も違っているでしょう。
性格も違っているかもしれません。
今の早希ちゃんは、まだしゃべることはできませんが、ダウン症でなかったら、おゃべりになっているかもしれません。
昔観た映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のようにパラレルワールド(※)の中で、ダウン症じゃない早希ちゃんがいるかもしれません。
※パラレルワールドとは、今ある世界が、瞬間ごとに複数の世界に枝分かれして行くこと。(早希ちゃんが健常児の世界とダウン症児の世界のように)
もし、そのパラレルワールドに私たちが行って、名前も、顔も背格好も、性格も違う早希ちゃんを見たとしたらどう思うでしょう?
おそらく、「私たちの早希ちゃんじゃない!」と思うに違いありません。
早希ちゃんは、ダウン症を持って生まれたから早希ちゃんなのです。
早希ちゃんからダウン症を切り離すことはできません。
早希ちゃんとダウン症は一体なのです。
今の早希ちゃんはとても可愛いです。
だから早希ちゃんは、ダウン症を持って生まれてよかったのです。
そうでなければ早希ちゃんではないので。