ダウン症児の難聴は、報告によって異なりますが、30~75%くらいに見られるようです。
ダウン症児が難聴になる原因は、滲出性(しんしゅつせい)中耳炎です。
滲出性中耳炎は、下図のような中耳腔という鼓膜の奥の空洞状になっている部分に、炎症によって流出した血管壁、血液、 組織液が流れ出ることによって起きます。
Author Iain Source Own work (kopie engelse wiki : I made this myself - Iain 05:45 29 Jun 2003 (UTC)) original upload at nl:Image:Ear-anatomy-notext-small.png (9KB, MIME type: image/png), adapted: arrows and numbering
この滲出性中耳炎は、重症化しやすい特徴があります。
特に痛みなどの症状はありません。
少し大きめな声であれば聞こえるため、発見が遅れることがあります。
この状態が長く続くとやはり聞こえにくいため、言語の発達に影響が出る可能性があります。
もし、言語の発達が遅れている場合は、聞こえているかどうかも疑った方がよいと思います。
検査方法はいろいろありますが言葉でコミュニケーションが取れない幼児期は難しいところもあるため、日頃、身の回りの音に対する反応を見て聞こえているかどうか観察するのが良いと思います。
滲出性中耳炎の治療は、滲出液の吸引、鼓膜切開などがあります。
一時的に補聴器を使うこともあります。
症状が改善すると児童の表情が明るくなったり、発話が増えたりします。