優生学とは、優れた能力を持っている父親と母親が結婚・出産して優れた能力の子孫を残すことを繰り返すことで人類の進歩を促すというものです。
この優生学は、20世紀初頭、大きな支持を集めた思想です。
優生学思想については、次の記事にまとめましたので詳しく知りたい方は参照して下さい。
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第二次世界大戦中、ナチスでは、T4作戦という優生学学思想に基づいて障がい者を安楽死させる政策が行われていました。
犠牲者は15万人から20万人以上にのぼると言われています。
T4作戦については、次の記事にまとめましたので詳しく知りたい方は参照して下さい。
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この優生学思想は、ナチスだけでなく世界中の国々にありました。
日本では、旧優生保護法により、障がい者に対する不妊手術が1948年から1996年にかけて行われていました。
驚くことは、この旧優生保護法は1996年まであったということです。
先日のニュースでは、1962年から73年度にかけて北海道の優生保護審査会が障がい者1210人を審査し、そのうち1129人について(93%)については、強制不妊手術が適切と判断していたというものでした。
実際に不妊手術したのは、485人です。
手術に本人の同意は必要なかったそうです。
これは重大な人権侵害です。
対象となる具体的な疾患ですが旧優生保護法には下記のように記載しています。
遺伝性精神変質症、遺伝性病的性格、遺伝性身体疾患又は遺伝性奇形を有しているもの
ダウン症者も含まれると思われます。
宮城県のある60代女性Aさんは、「遺伝性精神薄弱」を理由に10歳代当時、強制不妊手術を受けたそうです。
Aさんは、2018年1月30日、仙台地裁に国家賠償請求訴訟を起こしています。
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旧優生保護法廃止から20年もかかってしまいましたが、今後、提訴する人たちが増えると思われます。
二度とこのような法律が出来ないように裁判で国の責任を認めて欲しいところです。