以前、次の記事にも書きましたが、放課後等デイサービスの報酬見直しが今年度から行われます。
今まで一律、同じ単価であった報酬を障害が重い児童が多い放課後デイ事業所では多くなるように、障害が軽い児童が多い放課後デイ事業所は、少なくなるようにするというものです。
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厚生労働省HP 平成30年度障害福祉サービス等報酬改定について
産業界の平均収支差率は、平均4.7%であるのに対して障害者支援サービスの場合、平均5.9%と高い収支差額だそうで利益を出し過ぎているため、報酬を見直すことになったそうです。
今、報酬見直しが大問題になりつつあります。
この報酬見直しでは、重度の障害児を受け入れた放課後デイ事業所は報酬が高くなり、重度の障害児が少ない放課後デイ事業所は報酬が少なくなりますが、実はこの重度かどうかの判定が問題です。
判定には次の新指標が用いられるようです。
H30年度4月までの過渡期は、次の5領域11項目等に基づいて判定するそうです。(新指標を使っても良い)
厚生労働省の事務連絡に、この判定基準は例と書かれており、市町村長が認めた場合は、独自に判断基準を作っても良い旨のことが書かれています。
以下の条件に該当する場合、「該当」となります。
①食事、排せつ入浴及び移動のうち3以上日常生活作にいて全介助 を必要とする場合
②行動障害および精神症状 において、(1)~(3) のうち「ほぼ毎日」又は「週に1回以上 」が1項目 以上 かつ(4)~(7)のうち「ほぼ毎日」が2項目以上
このようにして「該当」、「非該当」と区分されますが、「該当」=「重度」のハードルがとても高いのが分かるでしょうか。
療育手帳上、重度の扱いでも、今回の報酬見直しでは、療育手帳の判定とは別の条件で判定されます。
しかもハードルが高いため、ほとんどの障害児が「非該当」=「軽度」となってしまいます。
ちなみにダウン症のある娘は、療育手帳上は重度ですが、今回の市役所からの通知書では、「非該当」=「軽度」の判定でした。
私が判定してみても「非該当」になりました。
今後、どうなるのか。
今まで重度の障害児を受け入れていた放課後デイ事業所は、かなり苦しくなります。
事業の運営が困難になることが予想されます。
私が住んでいる地域では、ここ数年で放課後等デイサービスが増えたため、比較的簡単に預けられるところを見つけることができました。
しかし、今後は難しくなるかもしれません。
撤退する放課後デイ事業所が出てくるのではないでしょうか。
判定は「非該当」ですが、療育手帳上、重度の児童を引き受けてくれなくなる可能性もあります。
そもそも、「該当」、「非該当」の判定が療育手帳の判定とは別に実施していること自体が何か別の目的があることを感じさせます。
また、この判定は市区町村が行っています。
うちのダウン症を持っている娘を見て判定している訳ではないようです。
何を根拠に行っているのかよく分かりません。
判定は市区町村によってばらつきがあるという話も聞いています。
判定基準のハードルが低い市区町村があるかもしれません。
建前は重度の児童を扱っている事業所は報酬を手厚くするということですが、実際は、ほとんどの障害児は軽度の判定にし、事業所全体の報酬を下げようとしているのではないでしょうか。
更にです。
療育手帳を持っていない発達障害のあるグレーゾーンの児童も放課後等デイサービスを利用していますが、今後は、このような児童は、サービスを受けられなくなる可能性があるそうです。
これはひどい改定です。
私の周りでも、署名運動などを始める人たちが出てきています。