目次
1.現在の出生前診断で分かること
現在の出生前診断で分かることは、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミー(ダウン症)の3つの染色体異常についてです。
染色体異常と分かった場合、妊婦の90%は中絶を選択しているのが現状です。
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2.予想される遺伝子検査の未来
今や遺伝子検査は、容易にできるようになりました。
遺伝子検査キットを購入後、唾液を検査キットで採取して郵便ポストに投函すると検査され次第、結果が送付されるといったものです。
現在の検査では、ガン、生活習慣病、体質、ルーツ、才能などの傾向が分かります。
費用はそれ程、高くはありません。
検査項目によりますが数千円から数万円程度で検査が受けられます。
しかし、病気の発症には、おおよそ遺伝要因は30%しかなく、環境要因(生まれた後にどんな生活をしてたか)が70%影響しているなど検査結果がそのまま鵜呑みにすることはできません。
(注意 病気によってパーセンテージは変わります)
さてこの遺伝子検査は将来、どこまで分かるようになるのでしょうか?
将来、膨大なデータの蓄積から、それぞれの検査項目の複合的な分析によって精度が上がると予想されます。
SFの世界のようですが、容姿、頭脳、身体能力、才能を選べるようになるかもしれません。
そのような世界を描いた「カダカ」という映画があります。
そのような世界になりかねません。
3.人々が望むもの
現在は、染色体異常があるかとうか調べるために出生前診断が行われています。
しかし、遺伝子検査によってガン、生活習慣病、体質、ルーツ、才能が生まれる前に分かるようになると、人々は、障がいがあるかどうかだけでなく、将来、長生きられるのか、才能に恵まれて幸せな人生を送れるのかといったことが知りたくなります。
偏差値が高い学校に行かせたい、将来、オリンピック選手にしたいと思う人は、特に知りたくなると思います。
4.何が問題か?新たな差別は生まないか?
このまま規制もなく遺伝子検査が進化、普及した場合、次のような問題が起こると言われています。
- 遺伝子検査による企業の採用差別
- 遺伝子結果による保険料差別
遺伝子検査による企業の採用差別
企業が欲しいタイプの人材を選定する際、遺伝子結果を使うかもしれません。
就職する際、遺伝子で篩(ふるい)にかけられるわけです。
遺伝子によって就職出来る職業が決まってくる可能性があります。
このような世界になるとますます出生前に遺伝子検査をする人が増えてくると考えられます。
そうなるとダウン症などの染色体異常は最初に篩(ふるい)にかけられることになりかねません。
遺伝子検査による保険料差別
遺伝子検査の結果により、ガンになる確率が高いと出た場合は保険料を上げる、または確率が低い場合は保険料を下げるといったことも起きます。
5.どうすればいい?
どこかで歯止めをかける必要があります。
- 遺伝子検査はどこまで許されるか?
- 遺伝子検査の結果はどの範囲まで活用して良いか?
遺伝子検査はどこまで許されるか?
遺伝子検査でどこまで知ってよいのかということです。
出生前に遺伝子検査した結果、ダウン症などの染色体異常のみならず、才能等により出産するしないの選別が行われる可能性があります。
出生後の遺伝子検査は、病気の予防にも活動できるため全て規制する必要はありませんが、出生前の遺伝子検査は規制が必要と考えられます。
もしくは、遺伝子検査と出産するしないの選別を切り離すような規制が必要です。(遺伝子検査の結果による中絶は認めないなど)
遺伝子検査の結果はどの範囲まで活用して良いか?
遺伝子結果は企業への就職時や保険料の決定に活用するべきではないと考えます。
また出産するしないの命の選別にも使うべきではないと考えます。
遺伝子によって社会的に不利な世界になるとやはり、出生前に遺伝子検査をしたいというニーズはどうしても出てきます。
どうしても出産するしないの命の選別につながってしまいます。
遺伝子検査の活用については制限するべきでしょう。